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2019.4.29

日本文化のポータルサイト 茶道とは (シリーズ)③茶道の歴史 その2

(写真= zummolo/Shutterstock.com)
(写真= zummolo/Shutterstock.com)
前回は、秀吉と千利休との関係を中心に、三千家(現代の表千家、裏千家、武者小路千家)の成り立ちについて綴りました。今回は、江戸初期から現代までの茶道の歴史をまとめてみます。

家元制度の確立

三千家が確立されたのは江戸時代初期でしたが、江戸時代中期になって戦のない太平の世の中になったこともあり、「茶の湯」は町人にも浸透してきました。しかし、普及によって「茶道」の「道」から離れてしまうことを危惧した三千家は、様々な対策を講じました。

その一つが家元制度であり、村田珠光や千利休が説いた「わび」「さび」といった茶道が持つ本来の思想をきちんと受け継ぐ仕組みが確立されました。現代の茶道の中にも脈々と受け継がれている「和敬清寂」という概念もこのころに確立され、各流派で異なるお手前の所作や茶会の様式の体系化が進みました。

また、一度に大勢の弟子たちに教える必要性から、四畳半の小間での稽古だけでなく、広間での稽古も考えられ、それをまとめた江戸千家開祖・川上不白らによって「七事式」という7つの作法が考案されました。

茶道具や精神性の探求

さらに時代が進み、江戸時代後期になると、茶道具を研究する大名が現れます。その中でも出雲松江の松平不昧は有名で、現代の美術展にもそのコレクションが出展されます。

茶道具だけでなく、茶道の精神性を探ろうとした有名な武士が大老井伊直弼です。幕末の歴史には切っても切れない幕臣ですが、その一方で井伊宗観という名前で200回以上の茶会に亭主や客人として参加し、「茶湯一会集」を著しています。特に、「一期一会」という思想を大切にし、その考えは現代の茶道にも脈々と引き継がれています。

実業家が茶道への回帰を図る

江戸幕府が崩壊して明治時代に入ると、西洋文明を積極的に取り入れようとする反動から、茶道そのものが衰退していきます。そこで、三千家や茶人大名に変わり、茶の湯の復活の救世主となったのが、「数寄者」と呼ばれる実業家たちでした。

1987年頃から実業で財を成した財界人を中心に、「茶道」をはじめとする日本文化への回帰をはかり、その財力をバックに日本中に散逸していた茶道具の名品を収集し、絢爛豪華な「茶道具」の世界を作り上げました。

代表的な政財界の「数寄者」を挙げると、外務卿の井上馨は、取り壊されて風呂の薪として売られそうになっていた奈良東大寺の茶室「八窓庵」を東京の自宅に移築、三井財閥の基礎を固めた益田孝は、それまでの茶会形式に仏教美術も取り入れた園遊会形式の茶会を催しました。

1900年には肥前国平戸藩主の子孫松浦詮が中心となって16名限定の「和敬会」が発足し、そこには当時の錚々たる政財界のメンバーが名を連ね、茶道の復興に力を入れました。

彼らが収集した茶道具は、各人が作った美術館に展示され、現代に引き継がれています。

三井財閥 益田孝 日本橋の三井記念美術館
荏原製作所 畠山一清 白金台の畠山美術館
野村財閥 野村徳七 京都 左京区南禅寺下の野村美術館
東武鉄道創始者 根津嘉一郎 南青山の根津美術館
東急グル―プ創始者 五島慶太 世田谷区上野毛の五島美術館
阪急グループ創始者 小林一三 大阪市都島区網島町の藤田美術館
実業家 原富太郎 横浜の三渓園

上記は茶道に関連する代表的な美術館です。

女性の稽古事として普及

また、明治時代には、女性の稽古事の一つとして茶道が普及し、料理、茶道、華道ができることが上流社会の女性のたしなみと言われました。

海外でも茶道が紹介されるようになりました。ボストン美術館で「中国・日本美術部長」を務めた岡倉天心が書いた「The Book of Tea」(邦題:茶の本)は欧米人の関心を呼び、そこから茶道が「Tea Ceremony」と訳されるようになり、国際的にも注目されるようになりました。

ここまで駆け足で、茶道の歴史を見てきました。現代における茶道は、忙しすぎる現代人にとっては一服の清涼剤であり、また東洋的禅思想の再認識を背景に、経営者層の社交場としてますます活用されることが期待されています。

茶道の根本思想は、禅宗との交わりの中で脈々と引き継がれています。近年のマインドフルネスの流行と同じく、禅の思想を体感する手段として茶道がさらに身近になることが、現代人の心の安らぎにつながることを期待しています。
 

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