相続
2019.5.20

相続は不動産でもめる 見方が変わると評価が変わる不思議

(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
(画像=Andrii Yalanskyi/Shutterstock.com)
相続では、多くのケースで自宅や投資物件などの不動産が含まれます。しかし、同じ不動産でも相続人Aから見た場合と相続人Bから見た場合で、価値が変わることがあります。この仕組みを理解していないと、いざ相続が起きたときに、相続トラブルが発生するリスクが高くなります。

遺言書の有無で相続内容は大きく変わる

本題を理解しやすくするため、相続のルールをざっと再確認しましょう。相続には大きく2つのパターンがあります。遺言書が残されているケースと、残されていないケースです。

遺言書が残されているケースでは、故人の意思を尊重して遺産を分配します。遺言者(被相続人)には、自分の財産を自由に処分できる権利があるからです。ただし、配偶者や子などの近親者には「最低限これだけの遺産を相続できる」と主張する権利があり、この権利を遺留分といいます。

たとえば、長男にすべての遺産を残すと遺言書に明記されていても、妻には4分の1の遺留分割合があるため、この部分については相続を主張できます。

遺言書が残されていないケースでは、被相続人との関係(配偶者や子など)によって財産を受け取れる割合が民法に定められています。これを法定相続分といい、この割合に沿って財産を分けていきます。

相続時の不動産価値は相続税評価額で算出することが多い

相続時に特にもめやすいのが、不動産に関わる部分です。たとえば、現金・預貯金・上場株式・債券などは明確な金額で価値が示されます。そのため、財産を分配するときにもめる要素が少ないと言えます。たとえば、1万円の現金の価値は誰から見ても1万円です。

しかし、不動産は違います。評価方法や不動産が生む収益など、不確定な要素があり、Aさんから見たら1,000万円の価値、Bさんから見たら1,500万円の価値ということがしばしば起こります。

とはいえ、一般の相続では「相続税評価額」をベースに不動産の価値を割り出すことが多いため、上記のようなことが起こるケースはあまりありません。相続税評価額というのは、国税庁が相続税や贈与税を計算するときの基準です。土地は路線価など、建物は固定資産税価額をベースにして算出するのが通例です。

不動産の相続トラブルは特に遺留分主張で起きやすい

相続トラブルのリスクが高まるのは、遺留分の主張があった場合です。財産評価の基準があいまいになり、その土地の評価は高すぎる、低すぎるといった意見対立が起きやすくなります。土地の評価を高く算出された相続人は、受け取れる不動産が減るため不利益をこうむります。

トラブルのリスクが高まる理由は、遺留分を主張されたときの土地の評価は「(相続税評価額ではなく)時価を参考にすることが多いから」です。時価とは、その時点の取引相場に基づいて算出した価格です。

通常の相続で使われる相続税評価額は、時価の8割程度に設定されています。この相続税評価額で土地を評価したい相続人と、時価で評価したい遺留分を主張する相続人の利益は相反します。これにより、相続トラブルに発展する可能性が高まるのです。

お互いが不動産鑑定士に依頼することでさらに複雑化

一般的に土地の価値は、適正な地価を判断する専門家である「不動産鑑定士」が評価します。相続人それぞれが別の不動産鑑定士に評価を依頼すると、さらに問題が複雑化します。

不動産鑑定士が使う評価基準はあるものの、依頼主であるクライアントに有利な評価をすることもあります。そのため、相続人Aが依頼した不動産鑑定士、相続人Bが依頼した不動産鑑定士で評価額が異なることも起こり得ます。

お互い譲らないのであれば訴訟で結果を出すしかありませんが、長期化・泥沼化する可能性もあります。これを避けるために、双方が主張する鑑定額の間で折り合いをつけることもあるようです。

>>【無料小冊子プレゼント】親が元気なうちに知っておきたい相続対策
 

【オススメ記事】
相続法改正。「配偶者居住権」とは?
相続を「争族」にしないために。事前に出来ること4選
故人の遺志を尊重する。遺言書とその種類とは
相続税の税率と贈与税の税率。国が意図していることとは?
不動産を活用した相続税対策。課税額を圧縮しよう

PREV スポンジ化現象とは 東京近郊のベッドタウンを襲う少子高齢化の波