相続
2019.4.17

遺言書は相続で最強のカード 富裕層なら使わない手はない

(写真= Burdun Iliya/Shutterstock.com)
(写真= Burdun Iliya/Shutterstock.com)
公正証書遺言の作成件数は、一年間で11万件超(2017年)。ここ10年で見ると約 1.5 倍に増加しています。自筆で書く自筆証書遺言を含めると、作成件数はかなりの数になるでしょう。しかし、それでもまだ遺言書作成を先送りにしている割合は多いようです。遺言書作成の必要性や無効にならないためのポイントをあらためて整理します。

遺言書を実際に作成している割合はどれくらい?

信託協会の調査によれば、相続財産を残す立場の方々のうち「相続対策をしている」と回答した割合は全体のわずか 16.2 %にとどまっています。貯蓄額や投資残高が上がるにつれて相続対策をしている割合は増えますが、相続対策が必要なはずの5,000万円以上所有の世帯に限ってみても30.9%しかいません。

さらに、「相続対策をしている」と回答した人のうち、遺言書を作成していると答えた割合は25.2%。4人に1人程度しかいません。「相続では遺言書作成が大事」と決まり文句のようにいわれますが、実践されている方はごく一部ということがわかります

遺言書があることで相続トラブル防止効果も

前項の結果を踏まえて、お伝えしたいのは「相続では遺言書作成がとても大事」ということです。遺言書は遺留分を除けば一番強いカードです。遺言者の意思に沿って自由に相続内容が決められます。遺留分とは、法定相続人に最低限認められている相続割合のことです。

具体的には、遺言書があることで「財産の割り振りができる」「財産と相続人の紐付けができる」という2つのメリットが得られます。

まず、「財産の割り振りができる」ですが、法定相続分にこだわらず、遺言者の意思で相続割合が決められます。たとえば、複数の子のうち「次男の相続割合を多くする」といった調整が可能になります。

もうひとつのメリットである「財産と相続人の紐付けができる」では、たとえば、「実家は配偶者に遺す、預貯金は長女、会社の資産は長男に遺す」と指定することが可能になります。もし、遺言書がなければ相続発生後、遺産分割協議を行い、それぞれの財産を誰が受け継ぐかを決めなければなりません。この話し合いが相続トラブルに発展することがありますが、遺言書があることでこのリスクも軽減します。

「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の違いは?

ちなみに遺言書にはいくつかの種類があり、主なものに「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があります。前者は裁判官や検察官などの経験を持つ公証人に希望を聞いてもらいながら作成するものです。専門家が関わることで、無効になるリスクがありません。また、作成後は公証役場に保管してもらうため、紛失の心配もありません。

後者の自筆証書遺言は、自筆で書き、自分で保管するものです(※)。公正証書遺言と比較すると、手軽に作成できるメリットがあります。一方で紛失する、不備があって無効になるなどのデメリットもあります。

※法改正により、法務局での保管も可能になっています。

自筆証書遺言では、自筆・日付・押印などに要注意

せっかく遺言書を作成しても無効になるケースもあるので要注意です。民法では、「遺言者がその全文や日付、氏名を自書し、これに印を押さなければならない」と規定されており(自筆証書遺言の場合)、この内容に沿っていない遺言書は無効になります。

具体的には、パソコンなどで作成していて自筆でない、日付がない(あるいは「×年吉日」などあいまいな表記)、押印が抜けているなどの遺言書は無効になる可能性が高いです。こういった不備が発生しないよう、相続にくわしい弁護士や行政書士などの助言・指導にもとづいて作成するのが賢明です。

法改正で自筆証書遺言の作成負担が軽減

最近の遺言書のトピックスとしては、自筆証書遺言に関しての法改正がありました。これまで自筆証書遺言は、相続人本人が全文を自筆で書く必要がありました。法改正により、財産目録についてはパソコンなどでの作成が認められるようになりました(ただし、自筆でない部分は全ページ署名または押印が必要)。この法改正で自筆証書遺言の作成負担が軽減しています。 遺言書作成を先送りしてきた方は、これを機に着手されてはいかがでしょうか。

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