相続
2019.2.21

相続税対策に使える生命保険

(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
(写真=Africa Studio/Shutterstock.com)
相続税は、2015年1月から基礎控除の金額が下がったことにより、実質増税となりました。今まで「相続税なんて自分には縁のない話」と思っていた方々でも、確認しておく必要があるでしょう。「実際計算してみたら相続税がかかる」というケースも増えてきました。相続税を回避する方法の一つとして、生命保険を活用することがよくあります。今回は、相続税対策をするために、どのような生命保険を選ぶべきかについて解説します。

相続税の基礎

相続税は、被相続人(主に祖父母や、父母)から相続人(子供、孫)に資産が移転した場合にかかる税金です。相続財産とは、被相続人が死亡した時点で所有していた財産というのが民法上の原則です。主に現金・預貯金や有価証券、土地・建物の不動産、車などの財産が対象となります。しかし、財産の額面金額に対して直接、相続税がかかるわけではありません。

まず、財産の総額から基礎控除と呼ばれる金額を計算上引くことができます。基礎控除金額を差し引いても財産価値がある場合は相続税がかかるということです。

【改正前の基礎控除】(2015年3月31日以前)
5,000万円+(1,000万円×法定相続人の数)

たとえば、法定相続人が妻と子供2人の場合、基礎控除額の算出式は、5,000万円+(1,000万円×3人)となります。計算の結果、この家庭の場合は8,000万円が基礎控除額となり、この金額を相続財産の総額から差し引くことができます。

【改正後の基礎控除】(2015年4月1日以降)
3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

改正後の基礎控除についても計算してみましょう。上記同様に法定相続人が妻と子供2人の場合、基礎控除額の算出式は3,000万円+(600万円×3人)です。計算の結果、4,800万円が基礎控除額ということがわかります。相続税改正前は、8,000万円まであった基礎控除が相続税改正後に4,800万円となり、3,200万円も減額されてしまったことがわかるでしょう。そのため、大幅な減額(増税)となり今まで対象外だった家庭も対象になる可能性が出てきたわけです。

生命保険料控除

生命保険金の場合、もし被相続人自身が受取人になっていれば、被相続人の財産ということになりますので、相続財産に含まれます。一方、受取人が被相続人以外である場合には、民法上の相続財産には含まれません。死亡保険金は、保険会社から受取人に支払われたお金になりますので、受取人固有の財産ということになります。

被相続人が亡くなって相続人が生命保険金を受け取った場合、生命保険金は民法上の相続財産には含まれないとはいえ、その経済的な効果は相続財産を取得したのと変わりません。こうしたことから、税法上は生命保険金について受取人が誰であっても「みなし相続財産」として相続税が課税される扱いになっています。なお、みなし相続財産には生命保険金以外に、死亡退職金なども含まれます。

ここまでですと、「なぜ生命保険が相続税対策に使えるのか」という疑問が出てくるかもしれません。しかし、相続人が取得した生命保険金については「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。たとえば、前例のように妻と子供2人がいる場合は500万円×3人=1,500万円までが非課税となるのです。自分が亡くなったときに生命保険金が下りるようにするためには、被相続人が保険料を支払っておく必要があります。

生きているうちに生命保険料を払っておくことで、相続税の課税対象となる財産を減らすことができると同時に、自分が亡くなった後、相続人に支払われる生命保険金には非課税枠がありますので、二重の節税効果があるといえます。また、いろいろな準備をしても相続税を払う必要が出てきた場合は、この生命保険を納税資金として使うことができるのです。

相続税は、被相続人が亡くなったことを知ってから10ヵ月以内に納税する必要があります。そのための準備資金として使うことができます。

どの種類の保険が相続税対策に有効か

いろいろな保険がある中で、相続税対策としてどれを選択すればよいのでしょうか。まず、候補の筆頭にあがるのが、一時払い終身保険です。相続税対策に向いているのは、貯蓄性のある保険です。また、変な話ですが、亡くなる時期は誰にもわかりませんので期間がある定期保険はあまり向いていません。一時払い終身保険を利用すれば、まとまった財産を一度に生命保険に移すことが可能ですので、すぐに相続税対策ができます。

また、生命保険は健康状態によっては加入できないこともありますが、一時払い終身保険は健康状態の審査がそれほど厳しくありませんので、その点もメリットといえるでしょう。80~85歳まで加入できるものもありますので、重い腰を上げてようやく相続税対策をと思いついても、利用できる可能性があります。また、加入時の注意点ですが、相続税での非課税枠を使う場合は、下記のような形態にしないと効果が出ません。

保険料支払者(加入者)=夫(父)
被保険者=夫(父)
受取人=妻(子供)

そのため、基本的にはこのパターンで加入することがおすすめです。さらに、上記のケースは個人で加入の場合です。法人保険を使った節税方法は別にありますので、それは別の機会に解説します。

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