相続
2019.2.14

子や孫への教育資金援助は要注意 富裕層をけん制する2019年税制改正

(写真=Ruslan Guzov/Shutterstock.com)
(写真=Ruslan Guzov/Shutterstock.com)
贈与で広く利用されている制度に「住宅取得等資金の非課税」と「教育資金の一括贈与」があります。2019年はこの2つの制度の内容が大きく変わります。明暗をわける贈与制度についての変更内容や利用時の注意点について解説します。

住宅購入資金の贈与は、非課税枠が1,500万円から3,000万円へ

はじめに、贈与の「明」である「住宅取得等資金の非課税」からですが、もともとあったこの制度は富裕層にとって贈与時にメリットのある存在でした。これまでの最大1,500万円の非課税枠が「2019年4月~2020年3月」間の契約締結日だと、さらに最大3,000万円へ倍増します。この期間に、祖父母・父母からマイホーム購入資金の贈与をすると、大きな相続税対策になります。

ただし、この制度では「最大3,000万円」の部分が強調されますが、この非課税枠は断熱性能等級や耐震等級で優れた「良質な住宅」購入時のものです。一般住宅の非課税枠は2,500万円になっています。また、個人間で売買する中古住宅は対象外となっている点にも注意が必要です。

累計19万件も利用されてきた人気特例「教育資金の一括贈与」

一方、富裕層向けの制度でも教育資金の一括贈与については「暗」となりました。まず、この制度の概要ですが、30歳未満の子や孫などに教育資金を一括贈与する場合、1,500万円まで非課税になるものです。2013年の制度開始以来、累計約19万件も利用されてきた人気のある相続税対策です。教育資金の一括贈与の利用数が多い理由には、使い勝手のよさが挙げられます。

この特例は、大学や中学校・高校の学費はもとより、塾・予備校、さらには習い事の費用にまで活用できます。一般社団法人 信託協会が約1万2,000人を対象に行った「アンケート調査結果(平成30年8月)」によれば、教育資金の一括贈与の利用方法(予定を含む)は次の通りです。

●大学・短期大学の学費 56.3%
●塾・予備校の費用 54.8%
●習い事の費用 48.9%
●高等学校の学費 47.5%
●中学校の学費 37.2%
●小学校の学費 28.3%

このほか、資格試験の費用(15.8%)、海外留学の費用(13.4%)、大学院の学費(8.5%)なども利用方法に含まれます。ただし、用途によって非課税枠は変わってきますので注意が必要です。例えば、幼稚園~大学院などの学費の非課税枠は最大1,500万円ですが、習い事などに関しての非課税枠は最大500万円になっています。

教育資金の一括贈与は条件が厳しく。年齢や所得の制限

2019年税制改正では、この教育資金の一括贈与の利用方法が絞り込まれます。さきほどのアンケートで見た通り、「習い事」も48.9%と割合が高い利用方法でした。しかし、2019年7月以降は、23歳以上の子や孫の習い事(学校ではない趣味のもの)の費用は対象から外されます。あわせて、所得制限もかけられます。

2019年4月以降、贈与される子や孫の所得が1,000万円を超える場合は、教育資金の援助をしても非課税扱いにはなりません。このように、教育資金の一括贈与の要件は多少厳しくなりますが、使い勝手のよさは変わらないため、一定の利用数を保つと考えられます。なお、この制度はもともと2019年3月末までの期間限定の特例としてつくられたものですが、今回の税制改正で2021年3月末まで延長されています。

教育資金の一括贈与を利用するときの注意点

最後に「教育資金の一括贈与ならではの特性」にも触れておきます。この制度は用途の自由度が高い一方、実際の利用にあたっては金融機関との信託契約が必要です。つまり、ダイレクトに子や孫へ贈与するのではなく、金融機関をはさんで贈与する仕組みになります。流れ的には、金融機関が「教育贈与資金信託」として預かり、必要に応じて子や孫に支払っていくという形式です。

なぜなら、金融機関を通して贈与されることで確実に教育資金に使われるようにするためです。この信託制度があるため安心して贈与できる一方、教育目的に限定されることを嫌う方もいます。信託制度の部分を深く理解したうえで検討することをおすすめします。

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