相続
2018.12.7

【富裕層のリアル相続】どれくらいの割合が生前贈与している?どんな方法でしている?

(写真=bbernard/Shutterstock.com)
(写真=bbernard/Shutterstock.com)
富裕層を対象にした調査から、かなりの割合の方々が「生前贈与をすでに実施している事実」が浮かび上がりました。対極的に「相続対策=晩年にするもの」との思い込みから、生前贈与を先送りしている方もいるようです。しかし、それは間違いです。早くはじめるほど有利になるのが生前贈与の本質なのです。知識を深めていきましょう。

富裕層と超富裕層の4割が生前贈与を実施している

野村総合研究所が2,000名以上の富裕層を対象にしたアンケートでは「富裕層と超富裕層の4割以上が生前贈与の経験あり」と回答。一方で、生前贈与への関心はあるものの実行していない層も約3割います。この結果から、生前贈与をすでに実施している方が多い一方、贈与を先延ばしにしている方も相当数いる実態がわかります。しかし、これからお話しする内容に照らし合わせると、先延ばしが賢明な判断ではないことが理解できるでしょう。

生前贈与は早くはじめるほど有利に進められる

生前贈与を先送りすべきではない理由としては、生前贈与でよく使われる「暦年課税」の特性が挙げられます。同アンケートによると、生前贈与を実施している富裕層のうち、約6割が暦年課税を採用している結果となっています。暦年課税とは、その年(1月1日から12月31日)の贈与額が基礎控除内の110万円以下なら贈与税の申告がいらない(つまり、非課税になる)仕組みです。

生前贈与を行おうとすると複雑なスキームになりがちですが、暦年課税は比較的少ない手間で行えるメリットがあります。一方で、富裕層の方々にとって暦年課税の基礎控除は「微々たる額しか節税できない」という感もあるでしょう。しかし、110万円以下でもコツコツと毎年積み上げていけばまとまった額になります。

とくに、子や孫などが多い方は「1人当たり年間110万円×人数分」で毎年一定額を積み上げられます。着手していない方は、すぐにはじめるべきでしょう。ちなみに、同アンケートによれば富裕層の年間平均の贈与金額は約600万円です。10年で考えると6,000万円、20年で考えると1億2,000万円になります。

このうち、一定の割合が非課税であれば、生前贈与をしている方と、していない方の差はかなり広がります。だからこそ、生前贈与は早くはじめるべきなのです。

「相続対策=晩年にすること」というのは間違い

「生前贈与は早くはじめるべき」というのはわかったけれど、「60代、70代などある程度の年齢にならなければスタートできないのでは?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、前項で紹介した暦年課税であれば、財産を与える側の贈与者も、財産をもらう側の受贈者も年齢制限はありません。つまり、30代、40代などのかなり若いうちからスタートしても差し支えはないのです。

その反面、暦年課税ではなく「相続時精算課税」を選択して生前贈与する場合、贈与者は60歳以上、受贈者は20歳以上という制限があるため若い世代は使えません。ちなみに、こちらはトータルで2,500万円までの生前贈与は非課税になります。

暦年課税を実施するときの注意点とは?

暦年課税はシンプルに行える生前贈与ですが、実施するときは次に挙げるような注意点もあります。
  • 贈与が実際にあった証拠をしっかり残す(銀行口座への入金など)
  • 銀行口座への振り込みの場合は、受贈者名義の銀行口座へ振り込む
  • 受贈者の通帳やキャッシュカード、銀行印は受贈者自身が管理する
  • 1年ごとに贈与契約書を交わす など
これらを守って贈与しないと税務署に否認されるリスクがあるので注意してください。

「生前贈与+相続対策」を同時に進めていくことが大事

暦年課税は使いやすい仕組みですが、より大きな財産をスムーズに動かしていくには、他の生前贈与を組み合わせるのが得策です。たとえば、使いやすい節税策としてはマイホーム購入資金を援助する「住宅取得等資金贈与」や、子や孫の教育費を援助する「教育資金の一括贈与」などの制度があります。あわせて、不動産を利用した「財産の評価額の圧縮」も生前のうちから考えていかなければなりません。

「生前贈与+相続対策」の2つの策を同時に進めていくことで、相続税を効果的に減らせることを意識して、早め早めに手を打っていきましょう。

>>【無料小冊子】親が元気なうちに知っておきたい相続対策
   

【オススメ記事】
相続法改正。「配偶者居住権」とは?
相続を「争族」にしないために。事前に出来ること4選
故人の遺志を尊重する。遺言書とその種類とは
相続税の税率と贈与税の税率。国が意図していることとは?
不動産を活用した相続税対策。課税額を圧縮しよう

PREV 非課税で贈与して子どもに家を持たせる絶好のチャンスがやってくる!2019年4月から1年間限定の贈与税非課税枠3,0...
NEXT 不動産で相続対策するなら知っておきたい「小規模宅地の特例」

関連記事