相続
2018.11.29

不動産で相続対策するなら知っておきたい「小規模宅地の特例」

(写真=Pla2na/Shutterstock.com)
(写真=Pla2na/Shutterstock.com)
相続税対策に不動産の活用が有利なのはご存じの通りですが、不動産のなかでも自宅や事業のために使っていたものについては、さらに優遇が受けられます。それが「小規模宅地等の特例」です。いざというときに慌てないためにも制度の概要を理解しておきましょう。

「小規模宅地等の特例」は相続税の評価額が最大8割引きになる

相続財産として不動産を活用すると相続税評価額を引き下げられることから、相続税の節税になるということはよく知られています。たとえば、現金で1億円持っていたら、1億円から基礎控除などを引いた課税遺産総額に対して相続税がかかってきます。しかし、1億円を不動産に替えた場合、一般的なケースでは土地で2~3割、建物で5~7割程度の評価減が発生し、その分だけ相続税額を大幅に節税することが可能です。

さらに、その不動産が被相続人の自宅あるいは事業に使っている土地だった場合には、最大8割の評価減を得ることができます。このお得な制度が「小規模宅地等の特例」です。

小規模宅地の特例が当てはまる自宅

「小規模宅地等の特例」が当てはまる土地には大きく分けて、「特定居住用宅地」と「特定事業用宅地」の2つがあります。特定居住用宅地とは、「被相続人が住んでいた自宅の土地」または「被相続人と生計を一にする親族が住んでいた土地」のことです。その宅地を、被相続人の配偶者が相続した場合には特例の適用を受けることができます。

相続した人が配偶者ではなく、同居しているほかの親族だった場合には、「相続税の申告期限まで引き続きその建物に居住し、かつ、その宅地を申告期限まで所有していること」という要件に当てはまることが必要です。また、相続した人が同居もしていない親族だった場合には、「相続開始前3年以内に、自宅用の不動産(マイホーム)を所有しておらず、かつ相続した土地を相続税の申告期限まで所有していること」という要件に当てはまる必要があります。

特定居住用宅地に適用されると、その宅地の330平方メートルまでの部分に対して、相続税評価額が8割減額されます。

小規模宅地の特例が当てはまる事業用の土地

もう一つの特定事業用宅地とは、被相続人(あるいは被相続人と生計を一にする親族)が事業を営んでいた宅地のことを指します。事業を営んでいた宅地とは、会社、商店、医院・クリニック、工場、倉庫、賃貸マンション・アパート、賃貸ビル、駐車場などです。取得者の条件は特定居住用宅地のように細かいものはなく、親族であればOKです。

ただし、その親族が事業を引き継ぎ、相続税の申告期限までに宅地を所有して事業を営んでいる必要があります。事業と不動産を相続した後すぐに売ってしまったら適用されません。特定事業用宅地が当てはまると、その宅地の400平方メートルまでの部分に対して、相続税評価額が8割減額されます。特定居住用宅地よりも適用される面積が少し広いのです。

ただし、賃貸マンション、賃貸アパート、賃貸ビル、駐車場などの貸付事業用宅地については適用面積と割引額が異なり、200平方メートルまでの部分に対して相続税評価額が5割減となります。なお、被相続人が所有するオーナー会社で宅地を所有していた場合にも小規模宅地等の特例は適用されますが、条件がまた少し異なってくるので注意が必要です。

小規模宅地の特例を使用するための手続き

被相続人が自分のマイホームやビジネスのために使っていた土地は、被相続人の配偶者や親族にとっても大切な生活の基盤です。相続税の納税のために相続した不動産を手放すことになっては、残された配偶者や親族の生活は成り立たなくなります。そういった事態を避けるための制度が小規模宅地等の特例といえるでしょう。

相続税評価額が最大8割減になる点がこの制度の大きなメリットです。相続税対策として、この特例をフルに活用するなら事業用なら400平方メートル、自宅用なら330平方メートル、貸付事業用なら220平方メートルまで、上限いっぱいの広さの土地を買っておくという手段も考えられます。

この特例のデメリットは、手続きが少々面倒なことです。特例の適用を受けるには、相続税の申告書に適用を受ける旨を記載するとともに、小規模宅地等にかかる計算の明細書や遺産分割協議書の写しなどの書類を添付する必要があります。確実に特例の適用を受けるためにも、税理士などの専門家に相談しておくことがおすすめです。

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