相続
2018.10.29

口座凍結も怖くない!子や妻へ賢く財産を残す方法「遺言代用信託」

(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)
(写真=Burdun Iliya/Shutterstock.com)
相続が起こったとき、家族を悩ませる問題に「(被相続人の)預貯金口座の凍結」があります。この口座凍結を解除するには、遺産分割協議書に相続人全員が署名し実印を押印したり、金融機関の相続書類を提出したりするなどの対応が必要です。そのため、被相続人の預金口座が凍結され「葬儀費用や相続税が払えない!」というケースもあるかもしれません。

しかし、「遺言代用信託」の仕組みを使えば、家族に負担をかけなくて済むでしょう。ここでは、遺言代用投信について解説します。

相続人の死後、簡易な手続きで即現金が支払われる

遺言代用信託とは、信託銀行などに相続財産の管理をしてもらうものです。遺言代用信託を事前に設定しておけば、対象者が亡くなってもすぐに現金が支払われるので、相続税滞納などのトラブルを回避できます。仕組みは簡単です。まず、被相続人が元気なうちに、「どの相続人にどれだけの財産を残すか」をあらかじめ決めておき、信託銀行などに金銭を託しておきます。

そして、対象者が亡くなったときに、信託銀行が指定された相続人に金銭を支払うという流れです。その際に用意するものは次の書類だけで済みます。
  • 死亡診断書
  • 印鑑証明
  • 実印など
通常だと被相続人の死後、相続人が集まり、相続人全員が納得して遺産分割協議書を作成しておかないと、金融機関から預金を引き出しすることができません。この遺産分割協議が思うように進まず、「被相続人の口座の凍結が解除できない」ということがあります。また、それによって相続税が払えないということがあるのです。

しかし、遺言代用信託を使えば、残された家族に口座凍結の負担をかけることはありません。大変便利な仕組みです。なお、遺言代用信託で扱える財産は金銭などに限られ、不動産などは除外されます。また、遺言代用信託は金銭の他に「自社株」の承継にも利用可能です。金銭のときと同様、「自社株」をどの相続人に渡すか生前に指名しておくことができます。これによって、会社の後継者争いを防ぐことが期待できるでしょう。

遺言代用信託の3つの支払い方法

遺言代用信託のメリットには、「被相続人の希望の形で金銭を支払えること」もあります。支払い方法には、次の3つの形態があります。
  • 一時金型:財産(現金)を一括で渡すもの
  • 年金型:財産を分割で渡すもの
  • 併用型:一時金型と年金型の組み合わせ
相続後、潤沢な財産をもらった相続人が、散在することを心配されている方もいるでしょう。財産を分割で渡す「年金型」を採用すれば、こういったことを防ぐことができます。一方、年金型のデメリットとして、決まった額しか支払われないため、予想外に相続税や葬儀費用がかかったケースに対応できないことが挙げられます。

これが心配であれば、併用型を採用するとよいでしょう。一時的に十分な現金を渡しておき、残った分の金銭を分割で渡すことができます。

一例:三菱UFJ信託銀行の遺言代用信託の場合

遺言代用信託は、数多くの信託銀行などで扱われているサービスです。例えば、三菱UFJ信託銀行では「ずっと安心信託」という商品名でサービスが提供されており、「200万円以上、3,000万円以下(保有金融資産の3分の1まで)」の範囲内で信託が可能です。信託銀行ごとに設定が異なりますので、比較検討したうえで契約することをおすすめします。

参照:三菱UFJ信託銀行「ずっと安心信託」

遺留分を侵害する信託はできない点に注意

遺言代用信託には、相続税の節税効果がありません。しかしながら、「被相続人の希望通りの形で金銭や自社株を配分できる」という点は大きなメリットです。ただし、遺留分を侵害するような信託はできません。あくまでも法で決められた相続人の権利は守られます。最後に補足ですが、「遺言代用信託」と似たキーワードに「遺言信託」があります。

これは、公正証書遺言書を作成したうえで、信託銀行に管理を託すものであり、まったく別の仕組みです。「遺言代用信託」と「遺言信託」の違いに注意しましょう。

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