相続
2018.10.15

預金が相続できない!?休眠口座と借名口座の恐ろしさ

(写真=ponsulak/Shutterstock.com)
(写真=ponsulak/Shutterstock.com)
休眠口座という言葉をご存じでしょうか?例えば、何らかの理由である銀行に口座を開設したが、「その後まったく使わなかった」「その口座にはわずかな残高しか残ってない」といった場合、口座を開設したことすら忘れてしまうケースもあるかもしれません。日本の銀行や信用金庫などの金融機関には約9億口座があるといわれており、単純平均するとひとり当たり、約7口座以上を開設していることになります。

2018年1月から「休眠預金等活用法」が施行されました。この法律ができた背景は、休眠口座の預金は所定の機関に移管され、民間公益活動に活用しようというものです。対象となるのは2009年1月1日以降の取引から10年以上取引がない普通預貯金や定期預貯金です。ただし、外貨預貯金や財形貯蓄などはこの制度の対象にはなりません。また、もしお持ちの口座が休眠口座となった場合でも、口座の存在に気が付いた場合、いつでも引き出すことは可能です。

休眠口座と相続の関係

相続が発生した場合、故人の銀行口座から預金を引き出したり口座を解約したりすることは、法定相続人が複数いる場合、遺産分割協議が成立していなければ、基本的にはできません。さらに、遺産分割が合意に達しても、相続人全員の同意が必要です。もし疎遠になっている相続人がいる場合でも、それぞれの口座について遺産分割調停を行う必要があります。

例えば、故人の銀行口座に1万円の残高があり、法定相続人が10人いた場合を見てみましょう。もし口座を法定相続人のひとりがこの預金を見つけた場合、この口座を解約するためには、故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本や、10人全員の戸籍謄本と印鑑証明、さらには同意書などが必要となります。多忙な方なら1万円のために、ここまでの労力をかけたくないと思う方が大半ではないでしょうか。

このようなことを避けるためには、「亡くなる前に不必要な口座を整理して、できるだけ必要な口座にお金をまとめておく」といったことを行うと残された人の労力は減ってくるでしょう。

借名口座と相続の関係

次に借名口座のケースを見ていきましょう。借名口座は名義口座ともいわれ、「家族にお金を残したい」「相続税対策をしたい」といった理由で、子供や孫の名義で銀行口座を作るケースは枚挙にいとまがないでしょう。これを「借名(しゃくめい)(=名義)口座」といいます。ポイントは、その名義人(子供や孫)がその口座自体の存在を知らないケースです。

実際、そのようなケースは数多く存在すると思いますが、その場合、口座を作った人、言い換えるとお金を預けた人がその資産の所有者とみなされます。親や祖父母から子や孫への贈与ならば贈与する側とされる側との間でこれらの預金について承知していないと贈与になりません。さらに、「この預金を管理しているのが誰か」ということも重要です。

もし子供や孫が通帳や銀行印、キャッシュカードを保管し、きちんとお金の出し入れをコントロールしていれば問題ありません。しかし、それらの行為が親や祖父母がしている場合は、借名口座となり、贈与税や相続税の対象となってしまいます。

また、名義となっている子供や孫が口座を開設した金融機関の場所と離れたところに居住した場合なども借名口座とみなされる場合があります。実際には大学へ行ったり、結婚、転勤をしたりなど転居することは多いかもしれません。しかし、その場合、近くの金融機関に口座を開設するのが一般的だというのが税務署側の理屈です。

実際のところ、相続税が発生して申告をしたところ、申告漏れを指摘され追徴課税となったケースのおよそ70%がこの借名口座だといわれています。では、借名口座とされないためにどのようなことを事前にしておけば良いのでしょうか。まず、きちんと贈与する側に、口座のことを伝えることから始め、この借名口座についてできれば贈与契約書を作成しておくことが望ましいと考えます。

贈与契約書とは、親や祖父母と、子供や孫の間で交わされる契約書のことで、お互いにこの贈与に関して話し合いがなされていて、それを了承したことを契約書にしたものです。借名口座に関してはその口座番号や、名義人名、そして日付なども明記して作ることが大切です。

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