相続
2018.10.1

相続を「争族」にしないために。事前に出来ること4選

(写真=undefined/Shutterstock.com)
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「相続では事前の対策が必要だ」とよく言われます。その理由には「節税のため」というのもありますが、それ以上に「争族防止のため」、つまり「相続人同士の争いをなくすため」という理由が大きいのです。財産の持ち主が生きている間は仲が良い兄弟姉妹であっても、死後、財産の承継問題が発生した途端、仲違いすることも珍しくありません。2012年度司法統計によれば、家庭裁判所への相続関係の相談件数は10年間で1.9倍に増加しています。

今回は、相続を「争族」にしないために、生前にできる対策についてご紹介します。

対策1:生命保険を活用する

生命保険を活用した相続対策は争族対策として非常に有効です。相続対策としての生命保険には次のようなメリットがあります。

・500万円×法定相続人の相続税の非課税枠がある
・相続税の納税や遺産分割の代償分割、遺留分減殺請求に対応する資金を残せる
・遺産分割協議の対象外となる=相続人にそのまま残せる
・相続放棄をしても受け取れる

この他、法人が生命保険に加入した場合、自社株評価を下げる効果なども期待できます。そのため、事業を営む個人の世帯や中小企業を経営する世帯など、事業関連の資産があるために完全平等な遺産分割が難しい相続において、生命保険は争族対策として特に有効です。

対策2:遺言書を作成する

また、資産の持ち主である被相続人候補の意思を明確にしておく意味で、遺言書を作成しておくのも争族対策の一つとして有効です。遺言書がなければ原則として法定相続人で法定相続分を分けることになりますが、土地や建物などといった不動産がある場合は簡単に分けることができません。このような「平等に分けるのが難しい資産を誰がもらうのか」という問題が相続人同士の争いの引き金になります。事前に財産を誰に引き継がせるのかを明確にしておくことで、争いを防ぐことができます。

遺言書の機能としては、「相続分や相続方法などの指定」や「法定相続人以外の人に財産を引き継がせること」などが挙げられます。ただ、遺言書を作成する場合には、「公正証書にする」「遺留分に配慮した分割内容を書く」「遺言執行者を指定する」といった注意が必要になります。

対策3:相続人は誰なのかをはっきりさせておく

世帯によっては、「再婚したが、元のパートナーと今のパートナーのどちらとの間にも子どもがいる」「内縁の妻に財産を残したい」「隠し子がいた」といった特別な事情があります。また、特別な事情がないにせよ、身内と疎遠にしていた結果、兄弟姉妹や甥や姪が相続人として登場する可能性がないとも言えません。

このような場合に備え、血縁関係の状況を洗い出し、誰が相続人なのかをはっきりさせておいたほうがいいでしょう。また、法定相続人以外に資産を引き継いでほしい人がいる場合も含め、対策2で述べた遺言書の作成も併せて検討しておくといいでしょう。

なお、遺言書がない場合は相続人の順位は次のようになります。

第1順位 
相続人:配偶者と子ども
相続割合:配偶者2分の1、子供2分の1

第2順位
相続人:被相続人に子どもがおらず、かつその子どもの代襲者(孫など)がいない場合、配偶者と被相続人の直系尊属(父母や祖父母)
相続割合:配偶者3分の2、直系尊属3分の1

第3順位
相続人:被相続人に子どもがなく、かつその子どもに代襲者がおらず、さらに被相続人の直系尊属もいない場合、配偶者と被相続人の兄弟姉妹
相続割合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

対策4:被相続人が元気な間に財産・債務の状況をリストアップする

争族となるのは財産がある場合だけではありません。マイナスの財産、つまり借金や買掛金、未納の税金などといった負債がある場合も争族の原因となります。

マイナスの財産がプラスの財産を上回る場合、あるいはプラスの財産が不動産など分割しづらいものばかりで負債を返済するのが困難になる場合などは、相続放棄や限定承認といった形で負債の承継を避けることができます。しかし、どちらも自身が相続人であることが分かった日から3か月以内に被相続人が生前住んでいた場所の家庭裁判所に申し出るという手続きが必要です。この3か月という期間は一見長いように見えますが、財産の持ち主の死亡届や葬式の手続き、遺品の整理などに追われるため、うっかりするとあっという間に過ぎてしまうものです。

そのため、被相続人候補が生きている間に資産だけでなく負債も含めて財産状況を調べ、リストアップしておくといいでしょう。財産状況を明確にしておくことは、遺産分割協議をスムーズに進めることにつながるため、相続税そのものの節税をしっかり行える効果もあります。

家族信託の活用

その他でも、近年、利用者が増加しているのが、家族信託です。人生100年時代とメディアで聞くことが増えましたが、長生きする過程で被相続人が認知症になってしまうと相続税対策はストップしてしまいます。生前贈与や遺言などでの対策は相続人と被相続人の双方の合意に基づくことが原則です。
仮に被相続人が認知症を発症し意思決定を行えないケースでは生前贈与も遺言書の作成もできなくなってしまいます。
家族信託とは家族や親族が被相続人の財産を管理できる制度となります。金銭以外にも不動産の管理なども含めて管理することが可能です。遺言書と違い被相続人が生前のうちから被相続人の財産を管理できる自由度があり、利用が増えています。


節税も争族対策も、財産の持ち主が生きているうちでなければ行うことができません。できるだけ親族間で相続について話し合う機会を持つようにしましょう。

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>>【参考記事】円満な相続のために、不動産も有効活用できる?

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