相続
2018.9.27

資産家のポートフォリオには必ず不動産がある。相続における不動産のメリットとは

(写真=terng99/Shutterstock.com)
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内閣府が発表した「平成29年版高齢社会白書」によると、日本の総人口は長期減少の過程にあり、総人口に占める65歳以上の高齢者人口(高齢化率)は27.3%です。4人に1人以上が65歳以上であることがわかっています。出生数の減少は生産年齢人口の減少、ひいては税収にまで影響を及ぼすことが想定されているのです。そのため、日本では相続税に税収アップを期待する流れになってきています。

相続税は強化の流れ

世界を見渡すと相続税がない国もあるなか、日本では相続税制の改正が行われ、2015年から相続税の最高税率が50%から55%に引き上げられました。アメリカやイギリスの最高税率は40%ですから、日本は先進国のなかでも最高税率が高い水準にあります。

さらに、相続税の非課税枠の基礎控除は、2014年まで「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」でしたが、2015年以降は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」に引き下げられました。基礎控除額が約4割も縮小され、広く相続税を徴収する仕組みになったのです。

たとえば、現金1億円を1人が相続した場合、2014年までは「1億円-(5,000万円+1,000万円×1人)」で課税遺産総額が4,000万円でした。しかし、2015年以降は「1億円-(3,000万円+600万円×1)」で課税遺産総額が6,400万円となり、2,400万円も相続税評価額が増えていることがわかります。

一般家庭も相続税が発生する可能性がある

実際、国税庁が毎年発表する「平成28年分の相続税の申告状況について(全管)」を見ると、相続税の課税対象者が相続税制の改正で増加している状況が明らかになっています。相続税の対象者はこれまで資産家だけというイメージがありましたが、これからは一般家庭でも相続税の対象になる時代に変わりつつあります。

相続税を他人事ととらえて何も対策をとらずに過ごしていたら、「実は自分も相続税の課税対象者だった!」という事態になり得るかもしれません。相続税への理解を早い時期から深め、事前に対策をとっておきたいものです。

相続税評価を下げるためには

ところで、国税庁の同発表によると、相続財産のなかでも高い比率を占める金融資産の一つに、現金や預貯金などがあります。日本は長く超低金利の状況が続いていますが、安全、安心だからと現金や預貯金を保有する人が多い状況がうかがえます。しかし、現金の相続税評価額は時価です。現金1億円を相続すれば、相続税評価額は1億円のままです。

一方、同じく高い比率を占める金融資産に、土地、家屋のいわゆる不動産があります。不動産は時価ではなく、固定資産台帳や路線価などから案出した評価に対しての課税です。一般的に、土地は国税庁が定めた路線価に基づいて路線価の80%程度の評価額とされています。そして、建物は固定資産課税台帳に記載されている固定資産税評価額に基づいて評価され、建築費用の40~60%程度で評価されることが多いようです。

そのため、不動産は他の金融資産よりも相続税評価額を減額できることから、結果的に相続税を抑えることができるようになるわけです。たとえば、現金1億円で、時価1億円の不動産(土地6,000万円、建物4,000万円)を購入した場合で考えてみましょう。土地は公示価格の約80%に抑えられ6,000万円×80%で4,800万円に、建物の評価額は建築費の約60%となり4,000万円×60%で2,400万円と単純に計算でき、相続税評価額は約7,200万円になります。
現金の相続税評価額は1億円でしたから、不動産を購入することで2,800万円も相続税評価額を減らせたことになります。

また、土地や建物を貸している場合、相続税評価はさらに下がります。賃貸として貸し出した時の評価方法は下記となります。

・土地
自用地評価額4,800万円×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=約80%=3,792万円
 ※借地権割合により変動
・建物
自用家屋評価額2,400万円×(1-借家権割合×賃貸割合)=70%=1,680万円

例として、相続税評価額4,800円の土地を所有し、賃貸物件を建てたとします。
その地域の借地権割合が仮に70%だった場合、まず土地の評価額が70%減額されます。
賃貸割合が100%で、借地権割合が70%の地域では、土地の相続税評価額は4,800万円×〈1-0.7(借地権割合)×0.3(借家権割合)×1(賃貸割合)〉=3,792万円となります。

建物は仮に4,000万円の建築費だったケースでは、建築費の約60%が固定資産税評価額となります。仮に2,400万円の固定資産税評価額が付いているとすると、2,400万円×〈1-0.3(借家権割合)×1(賃貸割合)〉=1,680万円が建物の相続税評価額となります。

まずは、自分が相続税の対象者なのかを把握しましょう。そして、対策が必要なのであれば、不動産の保有も相続税対策の一つとして考えられるかもしれませんね。

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