相続
2018.9.10

これって相続税?贈与税?所得税?保険契約者の関係による税金の違いをおさらい

(写真=jeffy11390/Shutterstock.com)
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相続税の節税やいざというときの安心材料として、生命保険を活用している人は少なくありません。ただ、その課税関係について明確に理解している人は多くありません。申告する税金を間違えて、あとでペナルティを課されることもあるのが生命保険の課税関係です。今回は、生命保険における税金の判断について解説します。

どの税金になるのかは保険契約者の関係次第

死亡保険金が相続税・贈与税・所得税のいずれに該当するかは、被保険者、保険料の負担者、そして保険金の受取人が誰であるかによって決定されます。ざっくりと区分すると次のようになります。
 
被保険者 保険料の負担者 保険金の受取人 税金の種類
A B B 所得税
(一時所得または雑所得)
A A B 相続税
A B C 贈与税

●所得税に該当する場合

保険料の負担者と保険金の受取人が同一人物であれば、所得税の課税対象になります。なぜかというと、「自分で保険料というコストを負担して死亡保険金という収入を得たから」です。自ら投資をして所得を得たという点では、事業所得や譲渡所得といった所得税の課税対象となる所得と同じです。

なお、死亡保険金の受け取りを一括、つまり一時金で受け取る場合には「一時所得」に、分割して年金として受け取る場合には「雑所得(公的年金等以外)」に該当します。

●相続税に該当する場合

被保険者と保険料の負担者が同一で、保険金の受取人が別の人である場合には相続税の課税対象となります。保険料の負担者と保険金の受取人が別であること、また、保険金の受け取りのきっかけが負担者の「死亡」にあることから、死亡保険金の受け取りは相続と同等とみなされるのです。なお、保険金の受取人が被保険者の相続人である場合には相続により取得したものとみなされ、受取人が相続人以外である場合には遺贈により取得したとみなされます。

なお、一時金であれば全額相続税の課税対象となりますが、年金として受け取る場合には、2年目以降、階段状に課税部分が増えていく形で所得税の課税対象となります。

●贈与税に該当する場合

被保険者と保険料の負担者、そして保険金の受取人のすべてが異なる人物である場合には、贈与税の課税対象となります。死亡保険金は被保険者の死亡を起因として支給がされるわけですが、保険料の負担者と保険金の受取人は生きているからです。生きている者の間での資産の無償移転なので、贈与があったものとみなされます。

なお、相続税に該当する場合と同様、一時金で支給された場合には全額が贈与税の課税対象になり、年金として支給された場合は2年目以降、階段上に課税部分が増加する形で所得税が課税されることになります。

相続税対策上の注意点

生命保険は相続税対策上、非常に有効です。特に「分割しにくい不動産以外、分割しやすい現預金などの財産がない」「相続財産のほとんどが事業用財産で、相続人たちが遺産分割でもめる可能性が高い」ケースなどでは、争族対策につながります。このほか、「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があるため、課税を過度に心配することなく、納税資金や代償分割・遺留分減殺請求用の資金を相続人に用意してあげることができます。

ただし注意点もあります。相続放棄をした場合でも生命保険の死亡保険金を受け取ることになるのですが、この場合、相続放棄をした人については非課税枠の適用を受けることができません。なおかつ、死亡保険金を受け取った場合は「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。そのため、受け取った生命保険金全額に相続税が課税されることになるのです。

なお、相続放棄ができる期間は、自分が相続人であることを知った日から3か月以内となっています。何が自分にとって最善の選択なのか、事前に十分検討することが必要です。

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