経営
2019.3.11

投資用物件にも宅配ロッカーが不可欠に マンションからアパート、一戸建てにも広がる

(写真=Rakhmad Riyadi/Shutterstock.com)
(写真=Rakhmad Riyadi/Shutterstock.com)
ネット通販の増加によって宅配便が増え、再配達が急増したり宅配会社のドライバーへの負担が重くなったりするなど、その負担軽減策が大きな社会的課題になっています。それを解決する決め手として期待されるのが宅配ロッカーです。賃貸住宅でも設置が不可欠になろうとしています。

メーカーの実証実験で有用性が証明される

宅配ボックスの設置が再配達の削減に効果があるのかどうか、宅配ボックスメーカーでもあるパナソニックが、2016~2017年にかけて福井県あわら市の共働き世帯106世帯を対象に実証実験を行いました。その結果、宅配ボックス設置前には49%だった再配達率が、設置後には8%に減少。宅配会社ドライバーの負担が大幅軽減につながることが証明されました。

宅配事業者にとっては、この実証実験を行った106世帯分だけで労働時間を約223時間削減できたことになり、それは杉の木約33本分に相当するCO2の削減効果をもたらすそうです。それが全国に広がれば、どれだけの効果になるのか、その影響は計りしれません。また、利用者の側にも効果があります。「1回で受け取れないので申し訳ない」とストレスを感じている人が多かったのが、宅配ボックスの設置でストレスがほとんどなくなったとしています。

賃貸住宅居住者も宅配ボックスが不可欠に

賃貸住宅に住んでいる人に関する調査からも、宅配ボックスの重要度が高まっていることが分かります。リクルート住まいカンパニーの調査によると、2017年度の賃貸住宅の設備に関する満足度では、「24時間出せるゴミ置き場」が71.1%でトップ、「遮音性能の高い窓」の67.8%が2位です。そして、3位に「宅配ボックス」が続いています。その支持率は66.5%と上位2項目とさほど差はありません。

属性別にみると、ファミリー世帯では支持率が79.7%と上位2項目を上回ってトップになっているほどです。それほど役立っているだけに、「次に引っ越すときにも宅配ボックスがほしい」という人が多くなっています。なかには、宅配ボックスのためなら多少家賃が高くなっても仕方がないと考える人もいます。

同調査では、57.5%の人が、「家賃が上がっても宅配ボックスがほしい」としていて、その家賃アップの許容額の平均は1,100円という結果でした。アパートや賃貸マンションを経営する側からすれば、宅配ボックスを設置することで、周辺の競合物件との差別化が図れ、家賃を多少高く設定することができるでしょう。

補助金設置や容積率から除外などのメリット

このように、宅配ボックス設置が社会的な課題を解決する重要な手段になることを評価して、国もその設置促進に力を入れるようになっています。その促進策を上手に活用すれば、実質的な負担を軽減できるようになっているのです。まず、2018年度の国の予算で宅配ボックス設置に対する補助金制度が創設されました。駅やコンビニ、スーパーなどに宅配ボックスを設置する場合、その費用の2分の1を上限に補助金を出す仕組みです。

さらに、2019年度には「次世代住宅ポイント制度」が創設され、住宅の新築や取得の場合には、1戸当たり原則30万ポイント(30万円相当)付与されます。それ以外にオプションポイントとして設置する設備ごとに一定のポイントが加算されることになっていて、宅配ボックス設置は1万ポイントの加算要素となっています。これは持ち家に限られますが、宅配ボックスが一戸建てなどへも広がる契機となりそうです。

さらに、国土交通省では共同住宅の共用廊下と一体となった宅配ボックス設置部分について、容積率規制の対象外とする通達が出し、マンション分譲会社、賃貸住宅建設会社などが宅配ボックスを設置しやすくなりました。そんな施策が必要になるほど、宅配ボックスの存在が重要になっているということではないでしょうか。
 

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