経営
2019.2.1

首都圏路線別遅延率からみる混雑度合いとテレワークの推進

(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
(写真=Rawpixel.com/Shutterstock.com)
日本全体は少子高齢化により、人口数がすでに減少し始めているにもかかわらず、首都圏の朝夕の通勤ラッシュは全く改善していないと感じることはありませんか。東京メトロ副都心線や、JRの湘南新宿ライン、最近では小田急電鉄和泉多摩川~東北沢間の複々線化など路線の増強、また8両編成から10両、10両から15両へと車両の増強が行われています。

しかし、首都圏周辺部から都心に向かってくるJR、東京メトロ、都営地下鉄、そして各私鉄の混雑率は、10年前とほとんど変わらないという見方もあるでしょう。小池都知事が就任して、満員電車ゼロという公約を掲げたのが、2016年8月です。この公約を果たすべく「時差Biz(ビズ)」を取り入れましたが、効果が上がっているという実感は持てない人も多いかもしれません。

また、朝のラッシュ時に混雑や急病人対応などのために電車が遅延することは、かなり多いといっても過言ではありません。その状況を把握するために2017年12月22日に国土交通省は、首都圏鉄道の遅延の見える化を発表しました。今後は毎年発表していくようです。この記事を書いている段階では、2017年度分はまだ発表されていませんので、2016年度分を見ながら首都圏の「痛勤ラッシュ」を何かしら解消する方法がないか、探っていきましょう。

2016年の実態

今回の発表では、2016年度に発生した1ヵ月(平日20日)あたりの遅延証明書発行日数が発表されています。この証明書の発行ルールは、「7~11時の間におおむね5分以上遅延した」場合に発行するのが、JR、私鉄ともに共通のルールです。

まずは、首都圏45路線の中で遅延率ワースト10を見ていきましょう。
 
順位 路線名 1ヵ月(平日20日)あたりの遅延証明書発行日数
第10位 JR常磐線各駅停車(綾瀬~取手) 16.8日
第8位(同率) JR東海道線(東京~湯河原) 17.4日
第8位(同率) JR京浜東北・根岸線(大宮~大船) 17.4日
第5位(同率) JR総武快速・横須賀線(大船~東京~稲毛) 17.9日
第5位(同率) JR埼京・川越線(大崎~新宿~武蔵高萩) 17.9日
第5位(同率) 小田急線 17.9日
第4位 JR中央快速・中央本線(東京~甲府) 18.3日
第2位(同率) JR宇都宮・高崎線(上野~那須塩原・神保原) 18.4日
第2位(同率) 東京メトロ千代田線 18.4日
第1位 JR中央・総武線各駅停車(三鷹~千葉) 19.1日

この結果からは、「第1位の中央・総武各駅停車(黄色の電車)は、ほぼ毎日遅れていること」「遅延率は圧倒的にJRが高い」ということがわかります。少し不思議なのは、混雑率で毎年1位になっている東京メトロ東西線の遅延率が10位以内にランクインしていないことです。(東西線は16.4日で11位でした)また、遅延証明書の発行日数が10日を超えた路線は45路線中29路線で、なんと3分の2の路線で月に半分以上は遅延している状態です。

10分以内の遅れのうち94%が利用者によるもの(外部要因)とされていて、乗車時間超過が47%、ドアの再開閉16%、急病人13%となっています。乗車時間超過とドア再開閉は、電車の定員に比べて輸送量が追いついていないことです。また、各路線が乗り入れなどで複雑に絡み合い、一路線で遅延が発生すると、それが玉突きで別の乗り入れ路線にも影響を及ぼすこととなります。

遅延対策

この国土交通省の発表では、各社の混雑対策も掲載されています。各社とも取り組んでいる対策は、あまり変わりありません。

●ハード面
・輸送力の増強(8両、10両から10両、15両へ増結)
・ホームドアの設置
・駅のホームの拡幅工事推進
・駅の列車の折り返し施設設置
・複々線化工事の実施(特に小田急線)など

●ソフト面
・乗車位置サインの変更
・ホーム要員、警備員の人員配置増強
・スムーズな乗り降りの啓蒙活動 など

抜本的な遅延対策

しかし、このような対策だけでは抜本的な解決になっていないのが実態です。政府は1992年に「国会等に移転に関する法律」を成立させ、その後の地下鉄サリン事件や兵庫県南部地震などにより、首都機能移転の機運が盛り上がりました。1999年12月には、「国会等移転審議会」が候補地として北関東の「栃木・福島地域」、東海地方の「岐阜・愛知地域」、「三重・畿央地域」を選定しました。

しかし、かつては移転論に賛成していた石原慎太郎氏が「絶対反対」を公約に掲げ、東京都知事に就任したため、首都移転の話は完全に立ち消えになりました。しかし、いつかは起こる可能性のある関東直下型地震などの自然災害に対応して、完全な首都機能移転ではなく、部分的な移転なども考えることも必要なのではないでしょうか。

また、最近は働き方改革により、自宅や自宅そばのワークシェアリングスペースからのテレワークも広がりをみせています。インターネットがこれだけ普及し、さらに5Gの通信環境が東京オリンピック・パラリンピックごろから開始される予定です。シェアオフィスで働くことで、他社の社員との交流も生まれる副次的な効果も出てきています。

セキュリティ対策をしっかり整えることで、わざわざ都心のオフィスまで長時間かけて出勤する光景は、もしかしたら近い将来一変することになるかもしれません。このテレワークの本格導入が、本当の意味での働き方改革、通勤地獄からの解放につながるのではないでしょうか。

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