経営
2018.11.7

財務だけではない 経営を観る「目」を養うバランススコアカードの活用法

(写真=Gajus/Shutterstock.com)
(写真=Gajus/Shutterstock.com)
「バランススコアカード」や「経営戦略・ビジョン」、こうした言葉を聞いたことはあっても、日ごろの業務とは縁遠いと感じている方は多いのではないでしょうか。

一方で、売上・利益などの業績目標は私たちビジネスパーソンの日常に密着しています。各部署に「目標」が割り当てられて、責任者の評価も業績に左右されるので、どこの責任者も達成に向けて必死になります。

こうした業績目標の欠点として、あくまで単年度計画であり長期的視点が欠けてしまいがちな点と、予算管理を軸とした業績評価は結果だけを重視しそのプロセスには目を向けない点の2点が挙げられます。

そうした反省から、最近は大企業を中心に「バランススコアカード」の活用が広まっています。

バランススコアカード4つの視点

企業である以上、売上・利益を稼げなければ存続すら危ぶまれるのは事実です。それでも、売上・利益は結果に過ぎません。商品力や営業力はもちろん、サプライチェーンや人材育成といった「戦い方」に磨きをかけてこそ、競合に勝って業績目標を達成できるのです。

こうした「戦い方」こそが戦略であり、戦略の策定・モニタリングをサポートするツールこそがバランススコアカードです。

バランススコアカード最大の特徴は、4つのフレームワークにあります。これは経営戦略の全体像をとらえるフレームワークであり、財務的視点だけでなく、顧客・業務プロセス・学習と成長といった視点を包含しています。

その上で4つの視点からKPI(重要業績評価指標)を設定し、達成状況をモニタリングします。

●財務的視点
売上・利益といった財務的業績向上のために、どのような行動をとるべきかに焦点をあてます。主なKPIとして、売上高利益率・資産回転率・ROE(株主資本利益率)・配当性向などを設定します。

●顧客的視点
顧客とのリレーションを広め・深め、商品やサービスに対するロイヤリティーを高めるための行動を考える視点です。

主なKPIとして、顧客当たり売上高、市場シェア、新規顧客獲得率、既存顧客リピート率・クレーム率などを設定します。

●内部ビジネスプロセスの視点
企業は業績達成のために、サプライチェーンの革新、イノベーションの促進、人的生産性の向上、営業力向上などビジネスプロセスの強化に努めています。

内部ビジネスプロセスはこの点に着目した視点であり、契約1件当たりの取引コスト、新製品開発件数、売上高研究開発費比率などのKPIでモニタリングします。

●学習と成長の視点
ビジネスプロセスや商品・サービスはいずれ競合に追いつかれる可能性が高いです。常にビジネスの革新を続ける原動力は人材であり、学習と成長が成果を生むのです。

学習と成長の視点では、従業員満足度、従業員提案件数、従業員の資格取得者数(率)などをKPIとして設定します。

バランススコアカードは予算管理制度の欠点をカバーする

日本企業に深く根差した予算管理制度が、無くなることはないでしょう。売上予算を個人に割り当てたノルマも、(廃止が記事になるぐらいなので)多くの会社で残るでしょう。

予算やノルマは大切ですが、達成のためなら何をやっても許されるわけではありません。バランススコアカードは、プロセスの適正さをチェックし、東芝やスルガ銀行で起きたような業績至上主義の暴走に歯止めをかけることもできます。

バランススコアカードが予算管理制度に取って代わるのではなく、両者のコラボレーションが期待されているのです。

バランススコアカード定着のために

最後に、バランススコアカードを定着させる成功のカギについて説明します。

定着のために最も大切なことは、トップが「やろう」という意思を示し自ら社内に訴えかけることです。次に大切なことは、事業部や部門、とくに責任者に対し、その必要性を腹落ちさせることです。

もしバランススコアカードをこれから導入しようとするなら、この2点を心がけましょう。
 

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