資産運用
2019.7.13

賃貸マンションオーナーの常識シリーズ テナント退去時の敷金返還の原則とは

(画像=ingae/Shutterstock.com)
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国民生活センターによると、賃貸住宅の敷金・原状回復を巡るトラブルが絶えないと言います。賃貸住宅を借りている人が退去する際に、ハウスクリーニングやクロス張り替えなどの原状回復費用として、敷金を上回る金額を請求されたという相談が、各地の消費生活センターに寄せられています。

そんなトラブルに巻き込まれては、スムーズにリフォームして次のテナントを募集することができず、その結果利回りが低下して、不動産経営が赤字になりかねません。そうならないために、不動産投資としてマンション賃貸業を営む場合は、賃貸住宅の原状回復の基本的な考え方をしっかりと頭に入れておきたいところです。

年間1万件以上のトラブルが発生している

国民生活センターは、全国の消費生活センターに寄せられた相談を分野別に分類して、問題が多い分野に関しては定期的に公表し、消費者に注意を喚起しています。

残念ながら賃貸住宅に関する敷金や原状回復を巡るトラブルもその一つで、各地の消費生活センターに寄せられる相談件数は年間1万件を超えています。2015年度は1万4,236件、2016年度は1万3,905件、2017年度は1万3,209件と変わらず高い水準で推移しています。

トラブルの具体的な事例を挙げると、「壁紙やクロス等の原状回復費を求められたが、もともとあった汚れなので納得できない」「修繕費の請求明細書に記載された金額と実際に支払った金額が異なり、返金を求めても対応してくれない」「退去後のハウスクリーニング代に納得がいかない」などがあります。

国土交通省のガイドラインを頭に入れておく

こうしたトラブルを防ぐため、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成、ホームページで基本的な考え方をまとめて、関係者へ周知徹底を図っています。一般の賃貸住宅の契約書では、退去時には借りたときの状態に戻す、原状回復が賃借人の責任とされていますが、原状回復に関して、国土交通省はこう言及しています。

「原状回復を、『賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること』と定義し、その費用は賃借人の負担としました。そして、いわゆる経年変化、通常の使用よる損耗等の修繕費用は、賃料に含まれるものとしました」

原状回復は元の状態に戻すことではない

つまり、通常に使用した場合の経過年数による劣化や損耗に解しては、賃借人の責任ではなく、それは賃貸人が負うべきものであるということです。原状回復とは、賃借人が最初に借りた時に状態に戻すということではなく、通常の使用による劣化を考慮した状態に戻せばいいということです。ただし、タバコでカーペットなどに焼け焦げを作った、壁に傷をつけてしまったなどの過失については、賃借人の責任になります。

新築のような状態に戻す費用は所有者の負担

通常、賃借人が退去するとハウスクリーニングやリフォームを行って次のテナントを募集します。賃貸住宅のオーナーは、それらの費用の一部を敷金から充当できるとしても、多くは自分で負担しなければならないということです。このガイドライン以上に費用を請求し、入居者とトラブルになると、不動産経営がうまくいかなくなります。

不動産投資を行うときには、物件の分譲会社や管理会社がそのようなトラブルを起こしていないかどうかを事前にしっかりと確認しておきましょう。また、物件取得時には不動産投資の収支計画表を作成して、ハウスクリーニングやリフォーム代、その他原状回復費用の発生時期や概算費用を織り込んでおくようにしましょう。

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