資産運用
2019.7.13

不動産所得の損益通算の制限とは

(画像=Jiffy Avril/Shutterstock.com)
(画像=Jiffy Avril/Shutterstock.com)
所得税法上、不動産所得の金額の計算上生じた赤字は原則損益通算が可能です。その仕組みを使って不動産所得で赤字を出し、給与所得などと損益通算して相殺することで所得税額を低くすることがよく行われます。しかし、場合によってはこの損益通算ができないことがあります。今回は、損益通算ができない具体例をあげながら説明していきましょう。

損益通算できない部分

不動産の損益通算ができない部分は、不動産所得の赤字のうち、土地など(借地権も含む)の取得のために調達した借入金の利子に相当する部分です。これはあくまで不動産所得が赤字になった場合ですので、不動産所得が黒字であれば、どれだけ土地に対する借入金利子が多額であっても関係ありません。また、損益通算できない部分の対象は土地取得に対応する借入金利子だけです。

そのため、建物部分の借入金利子、減価償却費、固定資産税などの租税公課は当然損益通算の対象となります。

借入金の区分をどう行うか

繰り返しになりますが、損益通算の対象とならない部分は、土地の取得に関する借入金の利子相当部分だけです。そうすると問題になるのが、一戸建て建売住宅やマンションのように、土地と建物が一体となっている物件の場合、「土地の部分をどう計算するか」が問題となります。

土地建物を一括購入した場合、まず借入金で建物を取得したものと考えましょう。
それでも建物の取得金額に対して借入金が上回る場合、その差額分は土地購入に充当したと考えます。つまり、借入金が建物の取得金額以下であれば、土地に対する借入金利子は生じないこととなります。

土地と建物の金額をどう出すか

上記のケースの場合、契約書に土地の値段と建物の値段が別個に明記されていれば、計算は容易です。しかし、特に中古物件の場合はなかなか分けることができません。そのときに使用する方法が、消費税を使う方法です。消費税は、土地には非課税ですので消費税金額は建物にかかるものとみなします。支払った消費税から逆算すると建物の値段がわかります。不動産業者から購入する不動産の場合は、このようにして建物の金額を計算することができます。

損益通算できない借入金利子に相当する赤字の場合(措置法41の4)

・「土地の借入金利子>不動産所得赤字」のケース
このケースの場合、不動産所得から発生する赤字額はすべて土地の借入金利子とみなします。「損益通算否認額=不動産所得赤字額」となり、全額が損益通算の対象外です。

・「土地の借入金利子≦不動産所得の赤字」のケース
このケースの場合、土地の借入金から発生する借入金利子額が損益通算できません。「損益通算否認額=土地の借入金利子」となり、「不動産所得の赤字額のうち、建物に関する借入金利子」のみ損益通算可能額となります。

借入金の返済が進んだ場合

貸家建付地として、戸建て、一棟物、区分マンションを所有しているオーナーが計算する場合、当然借入金の返済が進んでくるでしょう。その場合は、購入当初に土地と建物を分けたときの割合で返済が進んできたと考えます。

土地の借入金利子がない場合

全額自己資金で土地建物を取得した場合や、以前から所有している土地の上に借入金で建物を建築した場合などは、たとえ不動産所得の金額が赤字になっても、その赤字は建物から生じているため、損益通算は可能です。

まとめ

特に、不動産投資を行う個人の方、特にサラリーマン大家さんの方は、もし不動産所得で赤字が出た場合、給与所得と損益通算したほうが税制上おおいにメリットがあります。そこで、考え方としてマンション区分投資などの場合で土地建物を一括購入し、その資金を自己資金と借入金によって調達した場合、下記のように計算することが最も有利になるでしょう

・自己資金は土地取得費に充当する
・借入金は建物購入資金に充当する

これらの考え方を押さえておくことで、少しでも有利な不動産投資ができますので、ぜひ参考にしてください。

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