資産運用
2019.6.24

超基本 賃貸経営の業務ルーティンと中長期スケジュールでやるべきこと

(画像=inxti/Shutterstock.com)
(画像=inxti/Shutterstock.com)
賃貸業を初めて営む人や親から物件を相続した人は、何から手をつければいいのかわからないと悩むこともあるでしょう。本記事では、オーナーとしてやるべき業務をまとめてみました。「初めての賃貸業務の教科書」としてご活用ください。

具体的な業務内容

賃貸経営は、文字通りお客様に部屋を貸して賃料収入を得る事業です。そこには家賃収受や管理業務など、オーナーとしてすべきことがたくさんあります。

これを整理するために、「賃借人の入居から退去までの対応に関する1年~数年の業務サイクル」と「建物と附属設備に関してのメンテナンス業務など5年以上の業務サイクル」に分けて考えるといいでしょう。

1年~数年の業務サイクル

まず、入居者対応や居室管理にかかる業務サイクルを見ていきましょう。大きな流れは以下の通りです。

1    空室状態
2    内覧
3    審査
4    賃貸借契約の締結
5    入居
6    メンテナンスの依頼
7    退去
8    原状回復

1    新築物件、中古物件に関わらず空室は発生します。ここに入居者を入れることが最初の難関です。入居者を集める方法は、近年は管理会社や不動産仲介業者に委託するケースがほとんどです。それらの業者はインターネットで物件を掲載し、入居希望者を募ります。そこでオーナーが考えなければならないのは、賃料です。一度決めてしまうとなかなか変更することが難しいので、慎重に決めたいところです。周辺の家賃相場を業者などからヒアリングして、適正な家賃を決めます。入居者は、地元の不動産業者に依頼して、店頭に来るお客様を紹介してもらうこともあります。

2    内覧は、仲介業者が案内してくれます。内覧日が決まったら、事前に部屋をクリーニングするなど、少しでも見栄えを良くしておくことで入居者が早く決まります。また最近はVRや無人内見などが行われるケースもあります。

3    審査は、賃料の滞納がないよう賃借人の勤務先や学校などをしっかり確認します。学生の場合は身元保証人をつけるなどしてもらい、リスクヘッジをします。また保証会社を使うことも検討すべきでしょう。

4    オーナーとして、この人なら大丈夫と判断したら、その後の賃貸借契約は基本的に仲介業者が行います。不動産会社には専任の宅地建物取引士が在籍しており、その担当者が重要事項説明を行います。賃貸物件に関しては、近年IT重説が認められました。わざわざ賃借人が店舗に出向かなくても、自宅で重説を受けることができます。多忙なサラリーマンなどは、この仕組みを使うことで楽に契約ができます。したがって、オーナーとしては仲介業者がIT重説に対応しているかどうかを確認することも重要になるでしょう。また契約においては、敷金や前家賃など収受などお金のやり取りも発生します。

5    入居が決まると、建物管理や家賃収受などの入居者対応が発生します。これを自分で行うことを「自主管理」、外部の専門業者に委託することを「委託管理」と呼びます。部屋の数が多いと管理に手間がかかるので、費用は発生しますが、ある程度の戸数になったら管理会社に委託することも検討すべきでしょう。

6    メンテナンスは多岐に渡ります。例えば共用部の電球が切れた、備え付けのエアコンの調子が悪い、インターネットが繋がらなくなった、宅配ボックスの調子が悪いなど様々です。経年劣化によってメンテナンスの頻度も上がってきます。このメンテナンス業務も管理会社に委託することができます。

7    退去時は敷金の精算、部屋内部の破損状態のチェックなどを行い、必要ならば修繕費用を請求します。

8    原状回復はオーナーの経営判断であり、今後の入居者が魅力ある物件と思ってもらえるような工夫が必要です。退去にかかる原状回復と並行して新たな入居者募集を始めると、空室期間を短くできます。

このサイクルが一巡すれば、大体の流れがつかめます。なお、これに季節要因が加わります。サラリーマンや学生が新生活を始める時期は多くの場合4月です。したがって、入居・退去のピークは1~3月です。個人で賃貸物件を所有している場合、所得税の確定申告の時期と重なります。この時期にまとめて記帳するのではなく、普段から帳簿をつけておくことで繁忙期を乗り切ることができます。

中長期スケジュール

建物・設備のメンテナンスは、もう少し長いスパンで考える必要があります。5年以上の修繕計画を考えておき、支出の時期に合わせた資金計画を立てておく必要があります。

主な内容は、以下の通りです。

1    築5年~ エアコンや給湯器、水回り設備などの修繕、木造物件の場合はシロアリ予防や駆除など

2    築10年~ 設備修繕、入居者のニーズに合わせたリフォーム・リノベーションの実施

3    築15年~ 外壁塗装、タイルの修繕、陸屋根の防水工事、バルコニーの防水工事など足場を組んで行う大規模修繕工事

4    築30年~ 建て替え

また、これに加えて考慮すべきことは、オーナーの高齢化による相続対策です。後を継いでくれる子どもたちに、オーナーとしての心構えや賃貸経営の実務を教えて、入居者に迷惑をかけないように引き継ぎをすることが重要です。

資金の流れも把握しておきたい

オーナーとして最も重要なのは、資金の流れです。不動産賃貸は事業であり、オーナーは経営者です。したがって、オーナーはお金の流れをきちんと把握しておく必要があります。これを曖昧なままにしておくと、突然の支出に対応できなくなるかもしれません。中長期で見ると、家賃収入は一定でも減価償却と借入金の元本が逆転するデッドクロスが発生し、損益計算書が黒字でキャッシュフローが赤字という状態になります。そのタイミングで、資産の組み換えを考える必要があるかもしれません。このように、オーナーは経営者として、事業の損益とキャッシュフローを正確に把握し、意思決定をしていかなければならないのです。

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