資産運用
2019.6.21

大家さんが考えるべき消費税対策

(画像=Tiko Aramyan/Shutterstock.com)
(画像=Tiko Aramyan/Shutterstock.com)
2019年10月に消費税の増税が予定されています。しかし米中貿易戦争がこじれており、衆参同日選挙の憶測もあって、またも延期されるとの予想が出始めています。いずれにしても、賃貸物件のオーナーは、増税に対してできる限りの準備をしておくべきでしょう。そこで今回は、消費税のおさらいと、増税の影響を見ていきましょう。

賃貸住宅にかかる消費税の課税・非課税区分

まず、賃貸経営に関わる課税・非課税区分に関しておさらいしておきましょう。

1    課税売上対象
 ①    事務所・店舗(居住用以外)の賃料、共益費、礼金、更新料
 ②    事務所・店舗用の預かり分の敷金や保証金のうち、返還しない部分
 ③    入居者負担のリフォーム代
 ④    賃貸期間が1ヵ月に満たない住宅用賃料
 ⑤    建物の売買代金(住宅用・非住宅用を問わない)
 ⑥    駐車場・駐輪場の使用料

2.    非課税売上対象
 ①    住宅用賃料(社宅含む)共益費、礼金、更新料
 ②    土地の売買代金(住宅用・非住宅用問わない)
 ③    土地の賃料、更新料(住宅・非住宅問わず)

これらの区分は増税後も変わりませんが、課税対象の収入・支出に係る税率はすべて10%になる予定です。

住宅用賃貸物件のオーナーは消費税の課税業者ではないので、増税後もこれまでと同様に消費税を納める必要はありません。では、今回の増税はまったく関係がないのでしょうか。

実は、関係があります。受け取る家賃は非課税なので消費税を預かることはありませんが、支出である修繕費やリフォーム代、鍵交換代、管理委託費、大規模修繕費用などは課税対象なので、税率は10%に上がります。さらに管理業者に支払う管理費なども10%に上がります。

損益計算書の観点で見ると、売上である賃料は変わりませんが、支出は固定資産税、借入金利息、減価償却費を除き、税率は10%に上がります。つまり、手取りの金額が減るということです。これは上記の「2-①住宅用賃料」が非課税売上対象になっているからです。

オーナーができる増税前対策は?

では、増税前にオーナーができる増税対策には、どんなものがあるのでしょうか。

1    駐車場・駐輪場(上記1-⑥)の部分は契約書を8%から10%に引き上げる契約変更を行う。
2    もし、建物をリフォームする場合は、10月になる前に契約を締結する。
3    古くなった水回りや空調、電気、空調などを更新する、宅配ボックスや監視カメラを導入するなど、入居者のニーズが高い設備を導入する場合や古くなった設備を交換する場合は、消費税8%の9月30日までに行う。
4    交渉ができるなら、管理費の本体価格から消費税増税分を差し引いてもらう。
5    サブリース物件の場合も、これを機会に契約の見直しを行い、管理会社に増税分を負担してもらう交渉をする。
6    共益部分の水道光熱費を抑える。例えば、共益部分の照明をLEDに交換する、電気の供給元を新電力に変更する、電気とガスのセット割がある会社に切り替える。
7    インターネットは、最近の入居者には必須なので、加入時の契約内容や金額に関して相見積りを取り、少しでも安い会社と契約する。

つまりオーナーは、支出部分にかかる消費税増税分をいかに抑えるかが重要なのです。

まとめ

オーナーからすると、支出に係る消費税が上がると手取り額が減ってしまうので、その分を賃料の値上げでカバーしようと考える人もいるでしょう。しかし、賃料を上げてしまうと退去につながり、また空室期間がながくなってしまう恐れがあります。

消費税が上がるからといって、安易に賃料を値上げすることは危険です。きちんとした計画と調査を行って、値上げしても収益を上げていけるかどうかを見定めてから、賃料の値上げをするようにしましょう。

不動産賃貸業は収益事業であり、賃料の変更は経営判断です。オーナーは経営者として考え、必要なプロセスを経て、重要な意思決定として賃料の値上げを実行しなければならないのです。

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