資産運用
2019.6.10

不動産投資における本当の利回りがわかるIRRとは

(画像=designer491/Shutterstock.com)
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不動産投資を行う上で絶対に必要なのが収支計画です。これを作成せずに不動産投資を始めることは、海図を持たないで船を出すのと同じくらい無謀なことと心得るべきです。

不動産投資には、多くの定性的な面があり、「勢い」で物件選定をしてしまう傾向があります。当然それでは投資自体が失敗してしまう可能性が高まります。できるだけ数値化した上で、将来を予測し、備えるべきところはどこなのか、シナリオ作りが必要なのです。

そのためにIRRという指標を使ってより精緻に収支計算することができれば、失敗の可能性を抑えることができます。以下にこのIRRの計算方法や仕組みを見ていきましょう。

IRRとは

IRR(Internal Rate of Return)は内部収益率と訳され、投下資本がどれだけキャッシュフローによって効率よく返ってきたのかを、現在価値を使って計算する方法です。レートですので単位は「%」です。

その内容を、下記の表を使って説明しましょう。

商品Aは8%で返ってくる高金利の定期預金とします(今どきこんな有利な商品はありませんが、不動産投資と比較するために、架空の金融商品と考えてください)。

商品Bは、不動産投資のキャッシュフローとします。

前提は、両方共税引き後の手残りと考えます。

商品A
5年目に満期を迎え、利息と元本が返ってきます。
初期投資 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 元本回収
-100 8 8 8 8 8 100
      キャッシュフロー合計 40
一般的な定期預金や債券のイメージです。毎年定額が入ってきて、最後に元本が予定通り回収できます。

商品B
不動産投資で初年度に諸経費発生し、マイナスのキャッシュフローとなりますが、その後、持ち直し、5年後に売却し、下記の通りのキャッシュフローとなりました。
初期投資 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 売却金額
-100 -6 12 10 8 6 114
      キャッシュフロー合計 44
年によって変動があるのは、経年劣化により家賃収入が減ることを考慮しています。

これをExcelのIRR関数=IRR(範囲:推定値) で計算しますと商品Aと商品Bともに8%と出てきます。

特に不動産ファンドを運営するプロたちは、この場合IRR=8%と見た場合、どちらも同じ投資価値があると見ます。

ここでキャッシュフローに着目しましょう。商品Aのキャッシュフローは40、商品Bのキャッシュフローは44です。一見すると商品Bの方が良いキャッシュフローなので、投資対象としては勝っていると考えるかもしれません。しかしここに時間軸の考えを入れるのです。それは先に手元に入るお金の方が、価値がある、と考えます。それはそのお金を使って再投資できるからです。特に商品Bですと1年目が-6となります。お金が出て行くだけなのです。それを考慮に入れると、A=Bの投資価値だと考えます。

投資の世界では複利効果の考え方がとても大切です。すこしでも早くもらえたほうが、次の投資にそのお金を回すことができると考えるのです。

IRRを使うメリット

上の例のように、異なる金融商品を同じ尺度で比較することができるのが、IRRを使うメリットです。例えば、債券と不動産投資が同じ尺度で図られた結果、不動産投資が有利だと判断できれば、それを行いますし、逆の結果が出れば、債券投資を行えばよいわけです。

さらに同じ不動産投資の中でも異なるシナリオの比較にも使うことができます。例えば、表面利回り、自己資金の投入金額、借入金利、投資期間が異なるなどの物件を比較するときには、このIRRが役に立ちます。

RRの平均リターンは

プロの不動産投資ファンドの一般的な基準ですと、ミドルリスク・ミドルリターンで8%、ハイリスク・ハイリターンで15%のIRRと言われています。さらにこれらはすべて税引き前で計算した結果です。J-REITやTK(匿名組合)などに投資をした方はおわかりになるかと思いますが、これらのファンドには法人税がかかりませんので、それが前提となっているのです。

しかし、計算式で求められたIRRが万能とも言えないケースもあります。それは自己資金が少ないケースでは、とても高い数値が表示されることがあります。また、地方のとても古い物件に投資をしたようなケースでは、異常な高利回りが出る場合もあります。

IRRより簡単な計算方法は

このような場合や、初心者向けのもっと簡単な計算方法として、購入から売却までのキャッシュフローを見るのがおすすめです。この指標は最終的にいくらお金が増えたのか、を表します。キャッシュフローですから当然税引き後の手残りを基に計算します。また投資当初に投下したお金も物件の売却時には戻って来るケースもあり、それも考慮に入れます。
つまり、自己資本を多く入れれば、当然キャッシュフローも増えるということになります。不動産投資においては、少ない自己資金で多くのキャッシュフローを得るか、が大切なので、そこのところは誤解のないようよく考える必要があります。

以上、不動産投資によく使われるIRRについて簡便的に説明をいたしました。使えば使うほど、この指標の奥深さがわかると思います。ぜひ一度、不動産投資の場面で使ってみましょう。

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