資産運用
2019.5.7

東京オリンピック後に6千戸放出 選手村跡地の湾岸マンションは割安か?

(写真= Grand Warszawski/Shutterstock.com)
(写真= Grand Warszawski/Shutterstock.com)
2020年7月14日、東京オリンピック・パラリンピック開催まで500日を切りました(2019年3月)。五輪選手を迎える選手村とその周辺エリアは「晴海5丁目西地区第1種市街地再開発事業」に指定され、宿泊棟建築と道路などインフラ整備が進んでいます。

宿泊棟は大会のレガシー(遺産)として東京の街づくりに活かされ、大会後に建築されるタワーマンションと合わせてマンション用地として分譲されます。

6千戸もの住宅エリアが湾岸に誕生

その名は「HARUMI FLAG(ハルミフラッグ)」、大会時に利用される宿泊施設22棟(14-17階)を改築すると同時に、新たに高層タワー(50階)を建築し、2024年度に完成します。賃貸用も併せてを供給戸数は5,950戸、商業棟の建築も予定されており、デベロッパーの注目を集めます。

エリア内には学校や商業施設・保育所が作られる他、晴海ふ頭公園にも隣接しています。水素エネルギーを活用する点も先進的です。

街区には緑地・広場も適切に配置され、レインボーブリッジなどの港の景観、海辺との調和が図られている点も魅力的です。

アクセスや供給過剰などの懸念材料も

一方、最寄りの都営地下鉄大江戸線・勝どき駅まで徒歩25分もかかる交通アクセスはネックとなりそうです。

徒歩以外では、バス高速輸送システム(BRT:バス・ラピッド・トランジット)が唯一の足となります。BRTとは、バス専用線・連節車両・PTPS(信号制御・光学式車両感知システムなどで公共車両の走行を優先的に円滑化するシステム)を組み合わせて、定時制・敏速性と旅客量を担保する交通機関です。

BRTは臨海部と都心部を結ぶ環状2号線の上を走りますが、輸送力は1,200~2,000人と鉄道より明らかに見劣りします。

こうした利便性の悪さは、中古売却時だけでなく、賃貸としての人気にもマイナスに影響するのではと懸念されています。

また、マンション市況に与える影響も心配の種です。
すでに都区内マンションの市場動向は退潮傾向にあり、2018年の新築物件は価格こそ7,142万円と高止まりする一方で、契約率は62.1%と前年より6.0ポイントダウン、好不調節目の7割を下回っています。各月の契約率も7割を超えたのは3月だけでした。

価格を維持しているのは、分譲戸数自宅が減少しているからとの見方もあります。そこに6千戸近くが供給されるわけですから、値崩れの引き金になりかねないわけです。ちなみに晴海周辺マンションの坪単価は350万円前後、一方でハルミフラッグは270~280万円前後とされています。

過去の五輪大会を教訓にする

リオやロンドン五輪で、選手村跡地の開発はうまくいったのでしょうか。

リオデジャネイロの場合、選手村は市街中心部から20kmも離れたエリア(東京なら三郷・川崎・松戸といった地点)に建築され、周囲に商業施設や病院・学校も少なく、なおかつ公費負担が無かったこともあり価格は高めで、売却率は1割未満にとどまりました。その後は贈収賄疑惑まで持ち上がり、散々の結末です。

ロンドンの場合、中心部より近い東部ストラスフォード地区の跡地開発は成功事例とされています。周囲には学校や病院などの公共インフラも公費で整備され、一部は公営住宅として低所得者向けに提供されています。

ハルミフラッグの場合、アクセス面ではロンドン大会と遜色ありません。東京都都市整備局が音頭を取っていることもあり、公共インフラやコミュニティ施設の整備も進んでします。

一方でロンドンと比較すると、低所得者への視点が欠けているとの意見もあります。「子育てファミリー・高齢者・外国人など多様な人々が交流する街」とうたっていますが、実現に向けた具体的な方策は示されていません。どうやら、「お金持ちに限る」というただし書きがつくかもしれません。

跡地開発がロンドンのようにレガシーを遺すのか、それともリオのように負の遺産で終わるのか、それはハルミフラッグが過去の教訓をどれだけ活かせるかにかかっています。
 

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