資産運用
2018.11.21

マイホームを買い替えて生じた損失を税金還付で取り返す

(写真=fizkes/Shutterstock.com)
(写真=fizkes/Shutterstock.com)
住宅地の地価はようやく持ち直し傾向にあり、2018年の基準地価もマイナス幅が縮小しました。特に三大都市圏や一部の地方都市(札幌・仙台・広島・福岡)に関しては、ますます上昇基調を強めています。それでも全国平均でマイナスであることに変わりはなく、2008~2017年の10年間、一貫して下落が続いています。2008年との対比指数は、全国平均では82.7、最近は好調が続く東京都ですら94.4と10年前の地価に戻っていません。マンションや戸建ての買い替え検討に当たって、含み損を抱えている方も多いでしょう。

税金の還付で損失を取り返す

そんなときに頼りになるのが、「マイホーム譲渡損失の損益通算」制度です。支給明細を眺めるとよくわかるのですが、ビジネスパーソンの給料・ボーナスからは所得税が源泉徴収されています。ちなみに、年収1,000万円ベースの月額給与62万5,000円(賞与は4ヵ月分)で扶養人数が1人の場合、源泉徴収額は4万5,010円です。「マイホーム譲渡損失の損益通算」を活用すれば、その源泉徴収額の還付を受けることができます。

この制度は、バブル崩壊に伴い地価が急落した土地の買い替え促進を目的に、2004年に創設されました。創設当初は2万件を超えた適用件数も徐々に減ってきていますが、それでも毎年1万件弱がこの制度の恩恵を受けています。ちなみに、土地譲渡に関する所得税の申告件数は毎年6万件前後ですので、土地売買の6件に1件は損失が生じている計算です。

他に年収があれば譲渡による損失を相殺できる

一般的に、土地・建物や株式の譲渡によってたとえ損失が生じても、給料や賞与との相殺は認められません。マイホームだけこの相殺が認められており、これを税金用語で「損益通算」と呼びます。ちなみに社命で転勤を命じられ、やむなく単身赴任していたような場合でも留守宅は「住宅」とみなされます。では、転勤に伴い家族で転勤、空き家(またはリロケーションで賃貸)していたらどうでしょう。この場合も、引っ越してから3年後の12月31日までなら適用を受けることができます。

譲渡損失の違いによるシミュレーション

仮に給与所得が1,000万円、譲渡損失が1,000万円だとしたら、その年の所得は損益通算で1,000万円-1,000万円=0となり、その年に源泉徴収された所得税が全額還付されます。(あわせて翌年7月から1年間の住民税もゼロ)では、給与所得が1,000万円、譲渡損失が2,500万円だったらどうなるのでしょう。差額の1,500万円分は、諦めるしかないのでしょうか。

この場合は、その年で引ききれなかった損失分(上記の例では2,500万円-1,000万円の1,500万円)は翌年以降3年間(合計4回)に渡って、繰り越し損失を相殺(損益通算)することができます。これを「繰越控除」と呼びます。

最後に-適用が受けられないケースも

こんな頼りになる「マイホームの譲渡損失の繰越控除」ですが、適用受けるためにはいくつかの条件をクリアーしなければなりません

●年収制限
その年収(合計所得金額)が3,000万円を超える年は適用を受けられません。(損益通算は年収制限なし)合計所得金額には、退職金もカウントされます。大手企業の部長・課長クラスなら、退職する年には超える可能性が充分あります。もし含み損を抱える住宅の買い替えを検討中なら、退職のタイミングも視野に入れておくべきでしょう。

●所有期間
所有期間5年以内(譲渡した年1月1日時点)に購入した住宅の場合は、適用を受けることができません。もし、もうすぐ5年になろうという物件の場合は、売却時期も念頭に置きましょう。

●買い換え資産
床面積が50平方メートル以下の場合は、適用を受けることができません。ちなみに、マンションのパンフレットに記載されている床面積は「壁芯面積」ですが、税務署が使っている床面積は登記簿上の「内法面積」で、「壁芯面積」より若干狭いのです。そのため、ギリギリの物件を購入する際には、注意が必要です。

このほか、買い換え資産購入にあたっては住宅ローンを組み、かつ年末に残高があることが条件です。たとえキャッシュで払えるにしても、ローンを組んでおくなどの検討が必要になります。

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